JSIAM Online Magazine

研究部会だより

「数理設計」研究部会の紹介

代田 健二



数理設計研究部会は,機械・建築・土木等の分野の設計で使われている数値解析へ最適化あるいは逆解析の機能を加えることを目的とした研究活動に対して交流の場を提供するため,2005年2月の準備会と位置付けた研究集会を経て設立された.研究部会名については,設立の可否についての討論会を準備研究集会後に開催した際,逆問題も含めてもう少し間口を広くしてはどうか,産業界からみれば設計ということばが入ればさらに参加しやすくなるといった発言より,現在の名称である「数理設計」となった.組織体制としては,本研究部会を設立した畔上秀幸先生(名古屋大学)を代表とし,幹事は片峯英次先生(岐阜工業高等専門学校),松本純一氏(産業技術総合研究所),代田(愛知県立大学)の3名で担当している.

本研究部会で取り上げられてきた主なテーマは次のような内容である.

(1)    境界値問題が定義された領域の形状と位相の最適化問題および同定問題

(2)    波源推定問題,損傷同定問題

(3)    トラス構造のテンセグリティ設計問題,最適化問題

(4)    形状・位相最適化理論の製品設計への応用

ここでテンセグリティとは,張力材(ひも)と圧縮材(棒)を組み合わせた力学的な構造体で圧縮材同士はふれあっていないような構造のことである.特に近年は,形状・位相最適化手法の進歩により,(4)にかかわる内容が多く取り上げられている.2010年度以前の活動については研究部会便り[応用数理 Vol.21 No.3] を参照頂くとして,本稿では2011年度以降から現在までの活動を中心にご報告する.

本研究部会の活動の中心は,日本応用数理学会年会,研究部会連合発表会でのオーガナイズドセッションの企画・開催,また毎年12月に研究集会を企画・開催することである.オーガナイズドセッションでは,機械,建築,土木,応用数学の分野において最適化・逆解析の手法の設計への適用に関する最新研究を紹介してもらい,分野横断的な交流の場を提供している.特に「連続体力学の数理」研究部会とは,相互のオーガナイズドセッション参加や研究集会において研究発表を行うなど活発な交流を行っている.また2014年度年会では,「産業における応用数理」研究部会との合同オーガナイズドセッションを開催し,産業界における応用数理の重要性を再確認できる場を共同で提供した.研究集会では,研究発表とともにチュートリアルを不定期であるが開催し,最適化・逆解析手法に興味を持つ研究者への情報提供を行っている.なお参加・発表者としては,年会・研究部会連合講演会では大学関係者が多く,研究集会では大学関係とともに産業界からも多く参加いただいている.

さらに2013年3月には,ワークショップ「形状最適化の数理と製品設計への応用」を4日間にわたって開催した.このワークショップは,研究部会「連続体力学の数理」との共同開催であり,文部科学省・科学技術試験研究委託事業「数学・数理科学と諸科学・産業との協働によるイノベーション創出のための研究促進プログラム(略称:数学協働プログラム)」に採択され開催された事業である.両部会の代表である畔上秀幸先生, 大塚厚二 先生(広島国際学院大学)とともに,伊東裕也先生 (電気通信大学), 高石武史先生 (広島国際学院大学), 海津聰先生 (日本大学), 竹内謙善氏 (くいんと), 村井大介氏 (豊田中央研究所) を講師としてお招きし,最適設計手法の数学理論から製品設計への応用までの話題をご提供いただいた.

数理設計研究部会の特徴は,機械,建築,土木といった工学分野の研究者が数理的な理解に,また数学者・応用数学者が実用への応用に興味を抱き参加していることである.今後も「連続体力学の数理」,「産業における応用数理」など他の研究部会,他学会を中心に活動している研究者,産業界でご活躍の方々との交流を積極的に促進しながら,研究部会の目標をさらに高次元で実現できるよう努めていきたいと考えている.本研究部会についてより詳しく知りたい方は,下記の研究部会ホームページを参照されたい.

http://www.az.cs.is.nagoya-u.ac.jp/jsiam/



しろた けんじ
愛知県立大学情報科学部
[Article: I1409C]
(Published Date: 2015/03/14)