JSIAM Online Magazine

研究部会だより

「応用可積分系」研究部会の紹介

佐々 成正



応用可積分系研究部会は2005年4月に設立され,  現在に至っている. 本研究部会で
扱われる主な研究テーマは
[1]連続,  離散および超離散可積分系における, 方程式, 解, 保存量等を探求する研究
[2][1]で得た結果を物理系のみならず, 数値計算アルゴリズム, 交通流, 生態系,
離散幾何学等へ応用する研究
に大別できる. 従来この分野には「ソリトン」あるいは「可積分系」をキーワードとし
て様々な分野から研究者が参入しており, それが可積分系分野の活性化の源となってい
た. 本研究部会設立前は, 可積分系分野において応用数理的な研究が拡大しつつある中で,
これらの成果を挙げた研究者グループが分野横断的に共通して活動する学会がなかっ
たため, 日本の可積分系分野の多様かつ持続的な発展の礎となるべく応用可積分系研究
部会が設立された. 「応用可積分系」とは, 元来[1]中心であった研究テーマが,  離散,
超離散系を含む可積分モデルの多様化により[2]の研究テーマが増大していくという可
積分系研究の新しい動向を表した言葉で, 中村佳正先生(初代主査, 京都大学教授)によっ
て提唱された. 本研究部会設立から10年を経た現在では, その言葉は十分に市民権を得
たと言える. その典型的なテーマ例としては, 離散可積分系である離散ロトカボルテラ系
に基づいた高精度高速特異値分解アルゴリズムの開発・実装や, 超離散可積分系である
超離散Burgers系に基づいた交通流・渋滞の解析等が挙げられる. このように様々な分野
の研究グループが集まり, 応用可積分系において理論研究と応用研究が渾然一体となっ
て進んでいるのが本研究部会の特徴である.
本研究部会が毎年主催・共催している研究会として, 応用数理学会における年会オー
ガナイズドセッションおよび研究部会連合発表会に加えて, 数理解析研究所・RIMS研究
集会(7〜8月), 九州大学応用力学研究所の研究集会(11月)が挙げられる. 年会オーガナイ
ズドセッション・研究部会連合発表会は, 応用可積分系分野の研究成果発表の場として
定着し, また登壇者は大学院生等も多く若手研究者を育てる場として機能している. 数
理解析研究所における研究集会では, 応用も含めた可積分系分野および関連の深い数理
科学分野の最新の研究成果が発表されている. 1件60分程度の招待講演が基本であり,
例年十数件の講演が企画される. また応用力学研究所における研究集会では, 数件の特
別招待講演の他, 公募形式の口頭発表およびポスター発表が多数企画される. 応用力学
研究所から発刊される研究集会報告集については,2011年以降は査読付きの体制
を取っており, 研究の質を高める役割を果たしている. このように年会・研究部会連合
発表会を中心として, 国内での年間を通した研究活動のサイクルがうまく循環している.
各研究集会の内容および詳細なプログラム等については「応用可積分系研究部会HP」
を御覧下さい. また, 2009年以前の活動状況については, 研究部会だより[応用数理,
Vol.20, No.1, 2010]がありますのでそちらも御参照下さい.

応用可積分系研究部会HP : http://jsiam.amp.i.kyoto-u.ac.jp/ais/
応用可積分系研究部会メーリングリスト参加登録方法 :
http://jsiam.amp.i.kyoto-u.ac.jp/ais/index.php?MailingList



ささ なりまさ
日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター
[Article: I1410A]
(Published Date: 2015/08/01)