JSIAM Online Magazine

学術会合報告

ICIAM2015(6): The 8th International Congress on Industrial and Applied Mathematics に参加して

川原田 茜



2015年8月10日から8月14日まで中国北京市で開催されたThe 8th International Congress on Industrial and Applied Mathematics (ICIAM) に参加してきました。ICIAMは応用数学を中心とした幅広い分野に関わる国際会議で、4年に一度開催されています。1987年に第1回目がパリで開かれて以降、ワシントンD.C.、ハンブルク、エジンバラ、シドニー、チューリッヒ、バンクーバーでの開催を経て、今回の北京での開催が第8回目であったそうです。私は今回初めてICIAMに参加しましたが、まず規模の大きさに驚きました。参加者は世界の70カ国以上から約4000人も集まっており、専門分野も代数、幾何、解析、制御、情報通信、化学、社会科学など非常に多岐に渡っています。ICIAMの会場は北京市のオリンピック公園内のChina National Convention Center(国家会議中心)と呼ばれる施設にありました。この施設は一見、空港のターミナルビルかと思うほど大きな建物なのですが、さらに周辺には「鳥巣」をはじめとした独特の形をした巨大建造物がちらほらと配されていたのが印象に残っています。この地区は2008年の北京オリンピックの際に整備が進められたらしく、オリンピック終了後はそれぞれ新たな役割を担って維持されているようです。

ICIAMの会場に入り、プログラムを眺めてみますと、どの講演を聴きに行くべきか非常に迷いました。なぜならばミニシンポジウムは同時に66個ずつ走っており、Invited lectureも同時に3講演ずつ行われていたからです。プログラムを一通り眺めるだけでも一苦労といった感はありますが、会場内の至る所に設置されていたデジタルサイネージが良い情報を与えてくれました。国際会議開催中は"ICIAM TV''なるものを放映しており、プログラムに関する情報のほか、注目の講演者の研究室紹介や、ICIAM会場での突撃インタビューの様子をノンストップで流していました。動画から得られる情報は多く、意外なところに興味を引く話題が転がっていることを発見できたり、Invited speakerの方々が何を考え、何を目指して現在の研究を進めているのかを知ることができたりと、大変面白かったです。

今回私は超離散化とその応用に関するミニシンポジウムに於いて講演する機会を頂きました。超離散化とは、可積分系の連続方程式からある種のセル・オートマトンを構成する手法であり、Burgers方程式やLotla-Volterra方程式に適用した結果がよく知られています。しかしこの方法は非可積分系の方程式に対しては適用することができません。そこで講演では、偏微分方程式から数値解データを用いてセル・オートマトンを構成する方法を紹介し、その応用について話しました。この新しい方法は方程式の系に依らずに適用できるのが強みですが、まだまだ問題点もあるため今後改善していく予定です。講演中や講演後には質問とコメントを頂き、今後の研究のヒントとなるような議論もできました。同じミニシンポジウムでは他にも地震のトイモデルとなるオートマトンに関する講演、DNA stringに関する講演、腫瘍の成長モデルに関する講演があり、超離散モデルの応用可能性について学ぶことができました。

最後にICIAM全体を通して感じたことは、著名な研究者によるInvited lectureが素晴らしかったのはもちろんのこと、ミニシンポジウムにおける各国の勢いある若手研究者の発表が目立っていたなということです。これまであまり関わりのなかった分野の講演では「こんなところにも数学が!」と気付かされることがあり、新しい研究を始める際には自分の先入観を打ち破っていく勇気が必要なのだなと感じました。

次回のICIAMは2019年にスペインのバレンシアで開催されるそうです。これまでに見たことのない新しい"Applied Mathematics''が作られて行く様を間近で目撃するために、次回も是非参加したいと思います。

 



かわはらだ あかね
静岡県立大学 経営情報学部
[Article: G1509B]
(Published Date: 2015/11/02)