JSIAM Online Magazine

学術会合報告

EASIAM2016 参加報告

佐藤 峻



2016年6月20日から22日までの3日間にわたって"SIAM: East Asian Section Conference 2016"(EASIAM2016)がマカオで開催された.この国際会議は毎年開催されていて,過去の会場はクアラルンプール,北九州,台北,バンドン,パタヤ等である.今年は2件のplenary talkと6件のinvited talkを含めて129件の講演が予定されたが,実際にはplenary talkが1件キャンセルされる代わりにinvited talkが7件行われた.一昨年にタイで開催されたEASIAM2014—昨年はICIAM2015が北京で開催されることを受けてEASIAMは開催されなかった—における講演数は100件未満であり,一般講演は3つの会場に分かれて行われたが,今回は規模が大きくなったこともあり,会場は5つに分けられ,画像処理,流体力学,数値解析など多岐にわたる分野の講演が行われた.

著者自身,EASIAMへの参加は(前回開催時は修士1年だったこともあり)今回が初めてだったのだが,思ったよりも参加者に若い研究者が多い印象を受けた.各パラレルセッションは分野をまたがって構成されており,多様な発表を聞くことが出来て大変興味深かった.

著者は幸運にもEASIAM student paper prizeという賞の候補者としてEASIAM2016に参加する機会に恵まれたため,僭越ながら本報告の残りの部分ではその経緯について述べる.前回の同賞受賞者である相原 研輔氏(東京理科大学)の「EASIAM2014 参加報告~Student Paper Prizeを受賞して~」(JOM記事番号G1407B,2014/9/13)において丁寧に賞の概要が説明されているため詳述は避けるが,この賞は東(東南)アジアの博士課程学生を主な対象とし,例年3名の候補者が選出される.選出された候補者は,当該年度のEASIAMのstudent paper prize sessionにおいて発表を行うことで受賞が確定する.順位は講演後に開かれる委員会の会議によって決定され,翌日のBanquetにて発表される.しかし今年に関しては,2015年にEASIAMを開催しなかったことを受けて5名の候補者が選出され,そのうち1名はEASIAMに参加しなかったため,結果として4名が受賞することとなった.

今回の受賞に際して著者が投稿した論文は「S. Sato, T. Matsuo, H. Suzuki, and D. Furihata. A Lyapunov-type theorem for dissipative numerical integrators with adaptive time-stepping. SIAM J. Numer. Anal., 53(6):pp. 2505–2518, 2015」であり,その内容は散逸性をもつ時間発展型微分方程式に対して,散逸性を保ちながら数値解を構成した場合の漸近挙動について,可変時間刻み幅の下で議論するというものである.著者以外の受賞者は,中国のKaibo Hu氏(Structure-preserving finite element methods for stationary HMD models),タイのPhusanisa Lomthong氏(Image segmentation using fast implementation of level set without re-initialization),中国のZhi Zhao氏(A Riemannian Newton algorithm for nonlinear eigenvalue problems)であった.plenary talk, invited talkや一般講演での熟練の先生方のご講演と比べると,著者自身も含めてどの受賞者も拙さが垣間見えたことは否めないが,それぞれに工夫を凝らした発表を行っていて勉強になる部分も多かった.

著者自身の発表に関して言えば,事前に発表練習は十分重ねたものの,想像以上に緊張した.頭が真っ白になりながらも何とか発表を終え,結果として1st prizeを頂けたのは,共著者である松尾先生,鈴木先生,降籏先生の研究,論文執筆,発表準備を通じたご尽力の賜物だと思う.また,発表後の著者の様子があまりにも疲弊して見えたせいか,たくさんの先生が温かい声をかけて下さったことも大変有難かった.

以前の受賞者リストを眺めると,日本からの受賞者は概ね毎年出ている.今後もこの傾向が続いて行くことを期待しつつ.韓国のソウルで開催される次回のEASIAMを楽しみにしたい.



さとう しゅん
東京大学大学院 情報理工学系研究科
[Article: G1608C]
(Published Date: 2016/09/16)