JSIAM Online Magazine

学術会合報告

第2回岐阜数理科学研究会の報告

澤田宙広,宮島信也



 2013年9月16日から18日まで,表記研究会が飛騨高山まちの博物館(岐阜県高山市)で開催された.この研究会は第2回の開催で,第1回は2012年8月11日から12日に岐阜大学(岐阜県岐阜市)で開催されている.第2回研究会の運営責任者は筆者らである.本稿では,開催者の立場から本研究会の報告を行う.

 高山はミシュランの日本旅行ガイドで「わざわざ旅行する価値がある」3つ星の評価を得ている.3つ星は最高の評価であり,日本の都市で他に3つ星を得ているのは東京,京都,奈良,日光だけである.このことからも高山が観光地として世界的に高く評価されていることが分かる.実際,街中には多くの外国人観光客がおり,英語が併記された看板が目立つ.江戸時代には,高山は天領で代官が統治していた.代官と言えば悪人と相場が決まっているが,高山についてはそうではなく,代官は善政をしいていたらしい.そのような歴史的背景があるからこそ,美しい景観をもつ高山の古い町並みが今でも残っているのかもしれない.また,高山は食文化の豊かな所でもあり,山菜,地酒,高山ラーメン,漬物,飛騨牛,飛騨蕎麦,和菓子等を楽しむことができる.以上に挙げた高山の魅力のせいか,最終日には帰る時刻をわざと遅らせて観光をする参加者もいた.岐阜県は多治見等のイメージから暑い所だと思われがちだが,それは岐阜県南部のことで,岐阜県北部である高山は涼しく,朝晩はむしろ肌寒いくらいであった.高山へのアクセスについては,東海道新幹線で名古屋まで行き,そこから特急ひだに乗り換えるというのがよく知られている方法だが,実は東京,大阪,名古屋,京都より高山行きの直通バスが出ている.

 会場である飛騨高山まちの博物館は昔の蔵のようなたたずまいを持つ建物で,内部では最新の設備を有しながらも高山の古い町並みと景観の調和する,風光明媚な所であった.この会場は参加者に好評であり,今度は外国人を招いて再びここで研究集会を開くべきというご意見を参加者よりいただく程であった.

 第1回研究会の主なトピックは微分方程式論であったが,第2回のそれは微分方程式論と数値解析とした.その結果,普段同じ研究集会に参加しない純粋数学と応用数学の研究者とが接点を持つことができ,いわゆる「異文化交流」が促進された.このような交流は,日本の数理科学研究に広がりを与えるのではないだろうか.8件の50分講演と12件の30分講演が行われ,参加者は50名程度であった.講演内容の詳細については,こちらを参照されたい.

 筆者らが特に興味を持ったのは京都大学の岡本久先生のご講演であった.岡本先生はナヴィエストークス方程式に関する様々な数値実験結果を示され,その結果から特異摂動解の挙動について予想し,今後数学者が証明すべき命題をたくさんご提案された.この内容は数理科学のこれからの展望を示すものであり,純粋数学・応用数学の両面から楽しめるものであった.

 会場の隣にある銀風亭という料理屋で懇親会を開いた.ここは高山らしい古民家風の料理屋で,参加者は高山の地酒と郷土料理(特に飛騨牛の焼肉)を楽しむことができた.

 最後になったが,興味深いご講演をされた講演者の皆様,活発なご議論により研究会を盛り上げてくださった参加者の皆様,会場運営の手伝いをしてくれた岐阜大学の学生諸君に,この場を借りてお礼を申し上げたい.



さわだ おきひろ,みやじま しんや
岐阜大学 工学部
[Article: G1309B]
(Published Date: 2013/12/17)