JSIAM Online Magazine

学術会合報告

EASIAM 2017 参加報告

剱持 智哉



2017年6月23日 (金) と24日 (土) の2日間 (実際には1日半) にかけて, 韓国のソウル大学校において SIAM: East Asian Section Conference 2017 (EASIAM 2017) が開催されました. 本稿はその参加報告です.

会議の様子

EASIAM は毎年6月に東アジア・東南アジアで開催される応用数学の国際会議であり, 昨年はマカオ, その前 (2014年) はタイのパタヤで開催されました (2015年は同じアジアの北京で ICIAM が開催されたため, EASIAM は開催されていません). 著者にとっては昨年に続いて2回目の参加でした. 朝鮮半島の情勢が緊張していただけでなく, 2週間前までプログラムが公開されない, 事前にアナウンスされていた日程が4日間であったのにもかかわらず実際には2日間しか開催されない, invited talk の座長が講演者本人である, など, 不安要素ばかりであったものの, 無事に開催されました. 韓国で開催される会議の場合, アナウンスが遅いのはよくあることらしいのですが, 著者にとっては初めての経験だったため, 驚きでした.

情勢のためか, 講演数は昨年よりも少なく, のべ60程度でした. また, plenary talk が2つある予定でしたが, 1つはキャンセルされてしまいました. 残念だったのが, invited talk が general session の中に組み込まれていたことです. 合計で7個の invited talk がありましたが, これらがパラレルになっていたために, 最大で2つしか聴講することができませんでした. しかし, 著者が聴講した invited talk はもちろんのこと, general session や後述する Student Paper Prize session の講演は, いずれも興味深い内容でした. また, (情勢の観点から) 何事もなく滞在・帰国することができ, 非常に安堵しています.

会場の建物

会場の建物. KSIAMと同時開催でした.

Student Paper Prize

ここからは著者の講演について述べさせていただきます. 著者は幸運にも, Student Paper Prize session の講演者に選ばれました. この賞は主に博士課程の学生を対象とした論文賞であり, 例年, 事前に申し込みのあった論文の中から3名の著者が選ばれます. 選ばれた3名は会議において講演をし, 会議中に順位付けられることとなっています. この賞は日本人が選ばれることが多い賞でもあるため, 偉大な先輩方に続くことができて光栄です.

今回, この賞のセッションが初日の最初のセッションであり, その中で著者は最初の講演者でした. 十分に準備をしたつもりではありましたが, 研究集会全体を通してのトップバッターであったということもあり, 非常に緊張し, たどたどしい講演になってしまったように思います. 著者は, 平面曲線の勾配流に対する構造保存的な数値解法に関して講演しました. なんとか制限時間内に発表を終えることができましたが, 質問があまりなかったために, 手応えを感じることができませんでした.

著者の次の講演者である Byungjoon Lee 氏はある種のレベルセット法に対する並列化解法に関する講演であり, 最後の Li Luo 氏の講演は二相流の移動境界問題に対する並列化解法に関する講演でした. 偶然にも三者全員が「特定の微分方程式に対する数値解法の提案」という内容であったのは, とても興味深く感じます. 両者の講演は, 分野の近さもあり, 非常にわかりやすく興味深い内容でした.

結果としては, Li Luo 氏が first prize を受賞し, Byungjoon Lee 氏と著者が second prize を受賞しました. 個人的な印象としても, Li Luo 氏の講演は first prize にふさわしいプレゼンであったと思います. 昨年の佐藤峻氏に続いて first prize を受賞することができれば, と思っていましたが, 叶いませんでした. しかし, 著者が second prize を受賞することができたのは, ひとえに指導教員である齊藤宣一先生や事前にアドバイスをして頂いた松尾宇泰先生のおかげです. ここに御礼申し上げます.

授賞式の様子

授賞式の様子. 花束を持っている3人が受賞者であり, 左から Byungjoon Lee 氏, Li Luo 氏, 著者. (撮影: 榊原航也氏)

EASIAM 2018

来年の EASIAM は東京大学 (本郷キャンパス) で開催されます. 組織委員の先生方は, 通常の業務に加えて準備をしなければならないため, 非常にご多忙になることと思われますが, どうかご自愛ください. 東京での EASIAM の盛況を願って, 本稿を締めくくります.



けんもち ともや
東京大学大学院数理科学研究科
[Article: G1706B]
(Published Date: 2017/07/21)