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学術会合報告

2013年度応用数学合同研究集会に参加して

松江 要



 毎年「年末=龍谷大学に行く季節」と思わせる行事がある。「応用数学合同研究集会」と呼ばれる研究集会である。本研究集会そのものは数十年続くものであり、開催当初は数理解析研究所で開催されていたが、1990年代より開催地を龍谷大学に移す事になったと記憶している。それ以来、龍谷大学での開催が定番となり、2011年度より日本数学会応用数学分科会の主催、2012年度より日本応用数理学会との協賛となった。本年度は日本数学会応用数学研究奨励賞が創設されるなど、年々変化を起こしつつその格式を高めている。

 本研究集会の特色は、「離散系」「解析系」という2つのセッションに分かれて同時進行する点にある。前者はグラフ理論や代数の話など、後者は数値解析や力学系などバラエティに富むものである。さらに、間に「合同セッション」という離散系・解析系各々から1名による招待講演が開かれる。多くの若手も参加して活発な議論が飛び交う非常ににぎやかな集会である。

 私は元々偏微分方程式の力学系と精度保証付き数値計算をしていた事もあり、博士課程時代から毎年解析系にお邪魔している。今年も基本的に解析系に入り浸っていたわけだが、以前の所属先である東北大学で取り組んでいた課題が材料科学とホモロジー代数を使った話であったため、発表は離散系で行う事にした。離散系デビューである。解析系の先生方からは冗談まじりに裏切り者扱いされたが…まぁそれも1つのスタイル、と言う事にしておく。異分野との融合研究に携わっている場合、1つの事柄でも応用する分野は多岐にわたる。今回の話に限って言えば「準結晶」を交えた議論が成された歴史がある(という話だけ聞いていた)が、準結晶の事を何も知らずに挑んでしまった。これを機に離散系の分野に興味を持ち、応用数理の分野に制限しても分野を超えた議論等が出来ればさらに研究の幅が広がるだろう。それこそ異分野交流・融合の妙味である。

2日目の夕方からは、離散系・解析系入り乱れの「合同セッション」が開かれる。参加者が一同に会すると物凄い規模である。今年度は離散系より小関健太氏の「ハミルトン閉路」、解析系より荻田武史氏の「精度保証付き数値計算」の講演が行われた。どちらも背景や簡単な例から始まり、未解決問題や最先端の研究など非常に幅の広い話が展開され、さらに話の随所にその分野の「基礎」の精神が見事に織り込まれており、目の醒める思いがしたのは印象深い。

合同セッション後の懇親会も最早恒例である。離散・解析系の先生方と、一松信先生の挨拶により始まる。いろんな人と挨拶し、酒を飲み、研究の話をし、また酒を飲み、将来の事を語り合い、とにかく酒を飲み、充足感に浸りつつ2日目を終えるのが醍醐味である。親しくなればより議論もしやすくなるというもの。

3日目も講演と議論は止まない。私は解析系にお邪魔したが、力学系と計算の話が主だったように思う。レベルが高い議論が繰り返されほとんど追いつけなくなってしまっていたが、あとでヒソヒソ尋ねてみるとしっくりくる。まぁそれは一般のセミナー等でも同じことなのだが、この研究集会では馴染みやすく、話がしやすい独特の「雰囲気」があると感じる。そうこうしているうちに今年度も終了。

参加すればするほど馴染みやすくなり、年々若い人も増えているため新鮮味があり、マンネリにならない。むしろマンネリ化させないための工夫に力をいれている集会なので、研究の内外にある様々な「変化」を目の当たりにでき、参加するだけでもその意義は大きいように思う。

さて、来年はどんな話が飛び出すだろうなぁ。



まつえ かなめ
統計数理研究所(数学協働プログラム)
[Article: G1401B]
(Published Date: 2014/03/18)