学術会合報告

SIAM Conference on Optimization (OP14) 参加報告

佐藤 寛之



この記事では,2014年5月19日から22日までの4日間にわたりサンディエゴで開催された国際会議 SIAM Conference on Optimization (OP14) の参加報告を行う.会議の開催期間中は少し肌寒い日もあったが,概ね天候も良く快適に過ごすことができた.会場の Town and Country Resort & Convention Center では,講演が行われている部屋の中はもちろん,緑に囲まれた屋外でも多くの研究者が活発な議論を展開し,辺り一帯が熱気に包まれていた.

会議は19日の Yurii Nesterov 先生による plenary speech から始まった.講演では,最小化問題の目的関数の滑らかさが事前に分かっていない場合に,最小化の過程において観測される目的関数の滑らかさの情報を用いて,その振る舞いが上手く調整されるようなアルゴリズムについて議論された.他にも,3日目の Rekha Thomas 先生による plenary speech も興味深かった.与えられたデータ点と,連立された代数方程式の解として定義される集合Xとの距離の最小化問題について,代数幾何の道具を援用して議論が進められた.また,行列解析や画像処理の例を通して結果が分かりやすく紹介された.

その他の個別の minisymposium や contributed lecture のセッションでは,筆者は(非線形)共役勾配法や最適化の行列計算への応用などに関する講演を中心に聴講した.また,筆者は特にリーマン多様体上の連続最適化に興味があり,自身もその分野における研究についての講演を行ったが,残念ながら,同分野に関する講演の多くが同時間帯の異なるセッションにて行われたため,関連する他の研究者の講演をほとんど聴くことができなかった.しかしながら幸運なことに,その後のポスターセッションにて他の講演者と議論する機会を得られた.

そのポスターセッションであるが,これは1日目の夜に Welcome Reception and Poster Session と題して開催された.参加者は皆ワインやビールを片手に,交流を深め合ったり,ポスターの前で研究内容について議論したりしていた.特に,Li Wang 氏のポスターが印象的だった.そこでは,低ランク行列復元の問題が,シュティーフェル多様体を用いて定義されるリーマン多様体上の最適化問題に帰着された後,筆者らが提案した,スケーリングを考慮したリーマン多様体上の共役勾配法についての結果を利用して効率的に解かれていた.自分の研究結果が実際に使われていることに喜びを覚えたとともに,奇遇にも,筆者が今回行った講演も引き続き多様体上の共役勾配法を研究した新しい結果に関するものだったため,話が非常に弾んだ.

サンディエゴはメキシコと国境を接しており,今回の会議の会場のすぐ近くに位置するオールドタウンは,かつてメキシコの一部として独立した歴史も持つという.そうしたこともあって,全体的にアメリカとメキシコの文化が融合しているという印象を強く受けた.レストランでもメニューにメキシコ料理が多数あったし,空港でもメキシコの土産物が多く見受けられた.

このように文化的にも豊かな背景を持つサンディエゴの地で行われた今回の会議は,全参加者にとって大変有意義なものになったに違いない.本稿ではほんの一部の講演しか紹介できなかったが,興味を持たれた方には是非ウェブサイトからアブストラクト集をご覧いただきたい.



さとう ひろゆき
東京理科大学 工学部 経営工学科
[Article: G1406E]
(Published Date: 2014/07/20)