JSIAM Online Magazine


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研究部会だより

「数理的技法による情報セキュリティ」研究部会

櫻田英樹



インターネットなどの情報通信は私達の生活に欠かせないものになりつつあります。情報通信を安全・安心に利用するために、暗号を応用した通信手順(暗号プロトコルと呼ばれます)など、セキュリティ技術が多く利用されています。たとえばwebブラウザに搭載されている暗号プロトコル SSL/TLS は、インターネット・ショッピングなどで個人情報やクレジット・カードの番号を隠すために用いられています。このようなセキュリティ技術に欠陥があった場合、利用者の安全が脅かされるとともに、技術を利用している全てのシステムで修正が必要となるなど多大なコストがかかります。特に2014年は、世界中で使われている SSL/TLS の実装や仕様の欠陥が次々に発見され、専門家はその対応に追われる年でした。

このような安全が脅かされる状況を未然に発見・防止する方法として、数理的技法(形式手法、フォーマルメソッドとも呼ばれます)と呼ばれる手法が注目されています。数理的技法は論理学や情報科学の理論に基づいて、技術やシステムの性質を厳密かつ(半)自動的に検証することを可能にします。数理的技法は回路設計の分野などでは既に広く応用されています。本研究部会では特に、最近活発に行われている数理的技法のセキュリティやシステムの安全性への応用について議論しています。

研究部会は年に2回、年会と研究部会連合発表会でオーガナイズドセッションを企画し、数理的技法と情報セキュリティに関連する発表を広く募集しています。また、2014年の年会では国際会議で発表された最先端の研究テーマについてのチュートリアル講演も実施しました。研究発表会の講演資料を研究部会のwebページで公開しています。
「数理的技法による情報セキュリティ」研究部会webページ:http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/jsiam-fais/



さくらだ ひでき
日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所
[Article: I1409B]
(Published Date: 2015/06/15)