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学術会合報告

2014年度応用数学合同研究集会に参加して

須志田 隆道



私は2014年12月18日(木)から20日(土)まで龍谷大学瀬田キャンパスで開催された2014年度応用数学合同研究集会に参加した。私が龍谷大学の大学院生であったということもあって、応用数学合同研究集会は私にとって非常に身近な研究集会の一つである。私が修士課程一年のときに参加したときから思い起こすと、応用数学合同研究集会は年々進化しているように思う。2011年度から日本数学会応用数学分科会が主催になり、2012年度から日本応用数理学会が共催として開催されるようになった。2013年度から「日本数学会応用数学研究奨励賞」が設けられ、応用数学合同研究集会の大きな特徴の一つになっている。また、ウェブページで調査をしたところ、1993年までは京都大学で開催されていたらしいが、1994以降は龍谷大学瀬田キャンパスで開催されており、現在では龍谷大学の恒例行事の一つになっているように思う。

応用数学合同研究集会の参加登録や口頭発表の申し込みは、ウェブページで行うようになっている。ウェブページでは、どのような題目の口頭発表が申し込まれているかを閲覧することもできる。これもまた応用数学合同研究集会の特徴だと思う。年々口頭発表の数が増えているように思っていたが、今年度は非常に講演者数が増えていた。特に、受付を済ませた後に受け取る予稿集の厚さが今までにないくらい分厚いものであることに驚いた。今回の研究集会が終わってから気づいたのであるが、ウェブページには予稿集のPDF版を入手する方法が記載されていた。

応用数学合同研究集会では、「解析系」と「離散系」の2つの口頭発表の場が設けられていることも特徴的なことである。それぞれ、力学系や数値計算法など、グラフ理論や代数などの最新の研究成果が報告される。ただし、会場は2つに分かれている。特に研究集会の中日には、解析系と離散系からそれぞれ一名による招待講演を行う合同セッションがある。2014年度は、離散系の招待講演として慶応義塾大学理工学部の野口健太氏による「四色問題から広がる曲面上のグラフの彩色」、解析系の招待講演として龍谷大学理工学部数理情報学科教授の森田善久先生による「反応拡散系おける保存則とパターン形成」が行われた。 招待講演が行われた教室は、収容可能規模が200名以上の部屋であったにもかかわらず、ほぼ満員であった。どちらの講演も基本的な問題意識の説明から始まり、研究で得られた成果が詳しく解説されていた。

合同セッションの後には、毎年恒例の懇親会が「青雲館」と呼ばれる龍谷大学瀬田学舎の食堂の2階で盛大に行われる。はじめに解析系および離散系から代表1名の挨拶が行われ、京都大学数理解析研究所名誉教授の一松信先生による乾杯の挨拶で懇親会が始まる。懇親会では、食事をしながら研究者同士でさまざまな会話が交わされ、とても良い交流の場になっていると思う。

私は昨年度まで龍谷大学の大学院生として在学していたということもあり、修士課程から博士後期課程までに開催された応用数学合同研究集会に参加し、ひまわりなどの植物が形成する螺旋葉序の幾何学的パターンの数理的な研究に関する成果の報告を行ってきた。本研究は龍谷大学理工学部客員教授の日詰明男先生と龍谷大学理工学部数理情報学科講師の山岸義和先生との共同研究である。応用数学合同研究集会での質疑応答などでお教えして頂けた内容は、どれも貴重なものであり、研究の進展に繋がった。この場を借りて、私の口頭発表を聞いて下さった先生方に感謝を申し上げたい。今年度は、龍谷大学の大学院生でなく、明治大学研究・知財戦略機構の研究推進員(ポスト・ドクター)として参加し、日詰先生と山岸先生との共同研究で得られた2つの成果を解析系の口頭発表として報告することができた。今年度の口頭発表では、龍谷大学理工学部数理情報学科教授の四ツ谷晶二先生にご指摘を頂き、研究の進展に繋がった。四ツ谷晶二先生にはこの場を借りて、再び感謝を申し上げたい。

今年後の応用数学合同研究集会は、参加人数も非常に多く、初日から最終日まで議論が絶えない盛り上がりであったと思う。研究集会中にアナウンスがされたように記憶しているが、来年度からは口頭発表が先着順になるようだ。この点に関しては、来年度の申し込み時に注意しなければならない。最近では、さまざまな現象を数学を用いて説明するおもしろい研究の口頭発表が増えているように思うので、来年度以降の応用数学合同研究集会も非常に楽しみである。



すしだ たかみち
明治大学 研究・知財戦略機構
[Article: G1501A]
(Published Date: 2015/05/02)