JSIAM Online Magazine


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学術会合報告

三部会連携「応用数理セミナー」参加報告

深谷 猛



2014年も残りわずかとなった12月26日に,早稲田大学西早稲田キャンパスにおいて,三部会連携応用数理セミナーが開催された。本セミナーは,日本応用数理学会の研究部会「科学技術計算と数値解析」「行列・固有値問題の解法とその応用」「計算の品質」により企画されたものであり,各研究部会から推薦された講師が自分の研究に関連する話題について初心者にも分かりやすく講演する内容となっている。著者が調べた範囲では,本セミナーは2009年から開催されており.今回が6回目となるようである。また,2011年からは年末に他の研究集会と連続して開催されており,年末の恒例行事の一部として定着したように思う。

セミナーの名前を冠しているとおり,講師一人当たりの持ち時間が長く(例年,二時間もしくは一時間),講演内容は基本的な部分から構成されている。そのため,普段の学会発表に比べると,はるかに初心者や学生にとって聴き易いものになっていると思う。また,セミナー当日には各講演者の講演内容の資料を収めた冊子が配布されるため,後で内容を復習したり,参考文献を調査したりする際にとても役立つ。この記事を執筆するにあたり,今年の冊子を見直しているが,内容の充実ぶりを改めて実感している。このように,本セミナーに参加するメリットは非常に多いと思われ,実際に今回のセミナーも,午後の講演の開始時には会場の講義室の椅子がほぼ埋まるという盛況ぶりであった。

今回のセミナーの講師は,奈良高明先生(東京大学),中島研吾先生(東京大学),木村拓馬先生(早稲田大学),関根晃太先生(早稲田大学)の四名であった。どの先生も,初歩の部分から具体例を交えて分かりやすく説明をされていた。また,講演の後半部分では最先端の研究内容も紹介されており,質疑応答も活発であった。例えば,中島先生の講演では,CG法やILU前処理などの概説の後に,並列計算における課題とそれに対する様々な技法が多岐にわたって紹介されていた。その他の先生の講演に関しては,セミナーのHP[1]を参照していただきたいが,どれも非常に勉強になる内容であった。

本セミナーは,同じ日に複数の講演者の話を聴くことができ,さらに冒頭で述べたように前後に他の研究集会も開催される。そのような点は遠方からの参加者にとって非常にありがたいと思う。準備が大変であることは承知しているが,ぜひ,継続して2015年も同様のセミナーを企画していただけたらと思う。また,このセミナーも回数を重ねており,資料が蓄積されているので,応用数理学会の会員向けに過去の資料をWeb公開するといったことを検討していただけるのであれば,一会員として大変嬉しい限りである。

最後になるが,本セミナーで講演された四名の先生方,本セミナーの企画に携わった各研究部会の担当者の方,特に本セミナーの取りまとめをされた尾崎克久先生(芝浦工業大学)に対して感謝の意を表する。

[1]  http://www.oishi.info.waseda.ac.jp/~3ams2014/



ふかや たけし
北海道大学 情報基盤センター
[Article: G1501B]
(Published Date: 2015/05/02)