学術会合報告

SIAM conference on Applied Linear Algebra (SIAM LA 15) 参加報告

今倉 暁



2015年10月26日から30日の5日間アメリカ、Georgia州アトランタにあるホテルHyatt Regency AtlantaにてSIAM Conference on Applied Linear Algebra (SIAM LA15)が開催された。会場がホテルであるため、参加者の多くはそのホテルに宿泊しているようであった。著者も(多少値段が高かったが)会場のホテルに宿泊したため、各会議室までのアクセスは非常に便利であった。

SIAM LAは1982年にNorth Carolinaで開催されて以来3年に1度開催されているSIAM Activity Gourp on Linear Algebra (SIAG/LA) 主催の国際会議である(http://www.siam.org/meetings/archives.php#LA)。講演内容は会議名の通り線形計算関連が中心であり、日本応用数理学会で言うと「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会の内容とおおよそ合致すると思われる。今回のSIAM LA15は12件の招待講演の他、ミニシンポジウム(MS)が60セッション、Contributed Presentation(CP)が19セッションおよびポスターセッションが行われた。MSは1セッション30分 x 4講演、CPは1セッション20分 x 6講演であり、おおよそ350件の一般講演という事になり、Applied Linear Algebraという応用数学の一分野の会議にこれだけ多くの講演が集まることに驚いた。また、一般講演は9つ程度のパラレルセッションで行われており、聴きたい講演が重なることもしばしばあり、仕方ない事とはいえその点は少し残念だった。このため、多くの参加者がセッションごとではなく講演ごとに部屋を移動していたようである。

個別の発表やセッションタイトルは会議ホームページに委ねるが、各種の線形方程式や最小二乗問題、線形/非線形固有値問題など日本でも活発に研究されている分野の講演が多く見られる一方、その他にもGraph ClusteringやRandmized Algorithm、Tensor計算など日本応用数理学会の「行列固有値問題の解法とその応用」研究部会ではまだあまり見られない分野についても多くの講演が行われており発表内容の幅の広さを感じた。Graph ClusteringやRandmized Algorithm、Tensor計算などは近年注目されているビックデータ解析に使われている技術であり、著者も若手研究者として、これらの新しい需要に対応した研究に対しても取り組んでいく必要であると感じた。また、大規模科学技術計算向けの並列アルゴリズムに関する発表やCommunication-Avoiding技術やGPUなどの加速器関連の発表などのHPC関連の発表も多く見られた。SIAMでは、SIAM LAと関連する国際会議として、SIAM Conference on Computational Science & Engineering (SIAM CSE)および並列計算に焦点を当てたSIAM Conference on Parallel Processing for Scientific Computing (SIAM PP)が開催されているが、各国際会議の参加者は非常にオーバーラップしており、分野間での積極的な交流が伺える。一方、ポスター発表ではCornell大学のCharles val Loan教授が「Tensor Notation: What Would Hamlet Say?」というキャッチーなタイトルでTensorの表記法の幾つかの流儀に関する発表を行っており、コーヒーブレイクの際などに、多くの研究者が自分の流儀について議論していた。他にも有名な大御所の先生が多くポスター発表しており、著者はポスター発表はどちらかというと若手研究者が行うものと思っていたので、その点が印象的であった。

日本からの参加者は、「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会で活動されている先生方を中心として15人程度であり、比較的多くの参加者がいたように思う。ただし、ミニシンポジウムをオーガナイズしていたのは東京大学の中務先生だけでありその点は少しさみしさを感じた。

次回のSIAM LA18は2018年5月4日から8日に香港で開催予定である。ミニシンポジウムの企画も視野に入れつつ、次回のSIAM LAにも参加したいと思う。



いまくら あきら
筑波大学
[Article: G1511B]
(Published Date: 2016/01/30)