JSIAM Online Magazine


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学術会合報告

日本応用数理学会2015年度年会開催報告

畑上 到



2015年度日本応用数理学会年会は2015年9月9日から11日まで,金沢大学角間キャンパス自然科学研究科で開催されました.初日には弱いながらも台風が接近し,参加者に影響が出るのではないかと心配致しましたが,大過なく3日間の日程を終えることが出来ました.以下にご報告させていただきます.

 

実行委員会は,金沢大学所属教員の他,北陸地区(金沢工業大学,富山大学)の会員である教員と以前金沢大学におられ,現在北海道大学に移られている教員等の混成チームで構成されました.まず会場の選定については,地方開催で,参加人数が少ない場合に会場費の負担が大きくなることも想定し,市内の中心部からは少々距離がありますが,金沢大学の角間キャンパスとすることに致しました.参加された皆様には,バスによる移動等で少々ご不便をおかけしたことをお詫び致します.(一応,利用者が多い時間帯には臨時便のバスも手配させていただきました.)結果的に,外国からの参加も含め480名を越える参加登録者があり,最終的に心配は杞憂に終わり,黒字決算となりました.参加していただいた方々には,心より感謝致します.

 

口頭講演は,毎年の年会の通り,研究部会のOS(147件),一般講演(57件)の他,4件の正会員主催のOS(32件)の申込を受け付け,7つのセッションが並行するプログラムで行われました.会場の講演室はすべて同じフロアで,それぞれが近かったこともあり,セッション間での移動はスムーズであったように思います.1日目の夕方には,アカデミックプロムナード(共用広場)で45件のポスターセッション講演がありました.今回は,優秀ポスター賞については,参加された正会員全員に投票用紙を受付で配布し,その投票結果に基づいて実行委員会で最優秀ポスター賞1件,優秀ポスター賞1件を選定致しました.受賞者は2日目の懇親会の舞台上で表彰されました.総合講演は,小俣正朗氏(金沢大学理工研究域:日本数学会からの推薦に基づく講演),宮地充子氏(北陸先端科学技術大学院大学),姫野龍太郎氏(理化学研究所)の3件であり,それぞれ分野の違う興味深い内容に,参加者の専門を越えて熱のこもった質疑応答がありました.

 

毎年の年会では,全体イベントとしてパネルディスカッションが企画されますが,今回は大石会長からのご提案で,「ICIAM2023招致に関するパネル討論」が企画され,キーノートスピーチの後,開催の内容や意義だけではなく,具体的な方向性も含めた討論が行われました.

 

2日目の夕方には懇親会が金沢東急ホテルで開催されました.ご招待の総合講演者の方々,論文賞,優秀ポスター賞受賞者,友好学会からのご来賓も含めて,150名近い参加者があり,日本海の幸と北陸の日本酒を堪能していただきながら,和やかな場の中にも熱い意見交換が行われました.会の最後には,来年度年会の実行委員長の大石会長から,スクリーン上でビデオを流しながら北九州での開催のご紹介があり,盛況の中幕を閉じました.

 

新幹線金沢駅開業による影響で,参加者のホテルの予約は大丈夫だろうかという心配も実行委員会の中ではありました.また少数の不慣れな委員で構成されたことによる,年会実施への不安もありました.しかしながら,昨年度から導入された運営システム利用と学会ネットワーク委員会の皆様からのご尽力,さらには遠路はるばる応援に来ていただいた事務局の方々のご協力のおかげで,そのような不安は払拭され,実行委員一同できる限りの仕事ができたと思っております.なおこの運営システムについては,今回も少しはブラッシュアップできたように思いますが,来年度大石実行委員長の下,北九州での開催ではさらに充実されることと存じます.

 

さて年会の場は将来の応用数理を担う若い研究者に新規に入っていただく最もよい機会であると思います.今回アンケートをお願い致しましたが,いただいた数々の貴重なご意見をもとに改善され,年会が活発な研究交流の場として益々発展していくことを祈念致します.最後になりましたが,今回の年会にご参加いただいた方々,ご支援をいただいた方々にあらためて感謝の意を表し,報告を終わります.



はたうえ いたる
金沢大学 理工研究域
[Article: G1511C]
(Published Date: 2015/12/18)