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ラボラトリーズ

ラトガース大学滞在記

竹内 博志



私は2020年2月4日から2月29日まで,アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューブランズウィックにあるラトガース大学(Rutgers University)に滞在しました.本稿ではラトガース大学や,大学所在地であるニューブランズウィックの環境,またニューブランズウィックでの過ごし方についてご紹介します.今後ラトガーズ大学に滞在される方の情報収集の一助となれば幸いです.

ニューブランズウィックはニュージャージー州の中北部に位置しており,北側の大都市ニューヨークからは電車で約1時間,南側の大都市フィラデルフィアからは約2時間で行くことが出来ます.ラトガース大学のキャンパスは広大で,キャンパス内・キャンパス間だけでなく,街中でも大学のキャンパスバスを無料で誰でも利用することが出来るため,基本的にはこのバスを使って移動することになります.バス路線はいくつかあって複雑ですが,スマートフォンのRiderというアプリを使えば,バスの現在地,バス停までの到着時間,混み具合といった情報を知ることが出来,特に雨の日にかなり重宝しました.アメリカあるあるだとは思うのですが,周辺のホテルは高くて泊まれなかったため,Rutgers University Inn & Conference Centerという,会議場を兼ねた大学の宿泊施設を利用しました.こちらは20泊以上であれば割引され,一泊77.4ドルという大変良心的な価格で滞在することが出来ます.大学の宿泊施設ではありますが,特に滞在理由も聞かれないため,大学に用事がある人以外でも利用できるようでした.清掃やアメニティの交換は毎日行われており,Wi-Fiの速度も問題なかったため,快適に滞在することが出来ました.

徒歩で移動するのを諦める程度のキャンパス敷地

徒歩で移動するのを諦める程度のキャンパス敷地

滞在中はKonstantin Mischaikow教授にHill Centerの共同研究室の机を用意していただき,主にそこで研究を行っていました.Hill Centerは,宿泊施設の反対側であるBuschキャンパスに位置しており,理工系はこのキャンパスに集まっているようです.このキャンパスは市街地からは離れているため,食事は大学内のフードコートを利用します.通常の学食に加えて,ピザ・中華・メキシカン・寿司(アメリカ風)・カフェなど,飽きるのが難しいくらい店の種類が豊富です.また,Hill Centerでは毎日15時になると談話室でコーヒーブレイクがあります.通常のコーヒー(若干濃いめ)やカフェインレスコーヒーに限らず,様々な種類のハーブティーまで用意されており,カフェイン中毒の私には大変ありがたい文化でした(クッキー類も用意されていました).

次に,街の中央である駅周辺の繁華街の環境をご紹介します.この辺りには主に夕食を目当てに行くことが多かったです.御存知の通りアメリカはビールの聖地の一つであり,ニューブランズウィックのような学園都市でも,ブルーパブ「Harvest Moon Brewery」や,タップだけで50種類以上あるようなビアパブ「Hub City Brewhouse」など,店の数は少ないですが質の良いビールを楽しむことが出来ます.あとは,滞在中の洗濯のために,この地域のコインランドリーを利用しに行きました.筆者にとって衝撃的だったのは,クレジットカード社会のアメリカにおいて,コインランドリーだけは現金至上主義(というか25セント硬貨至上主義)だったことです.滞在中に現金を使う場面はほとんどここだけでした.

最後に,休日の過ごし方についてご紹介しましょう.現地の人にも尋ねたのですが,やはり休日はニューヨークへ足を伸ばすのがオススメのようです.せっかくの機会ですので,ニューヨークとフィラデルフィアの両方へ行ってみました.私の趣味は(上で既にお察しかもしれませんが)ビールなので,ビールに焦点を当ててご紹介します.当然,ニューヨークでは真っ先にブルックリン・ブルワリーに行きました.日本でもブルックリンラガーでお馴染みの醸造所ですが,現地のパブはラガーだけでなくIPAからチョコレートスタウトまで,20種類前後のブルックリン製ビールを楽しめます.醸造所併設で新鮮なためか,ブルックリンラガーはこれまで飲んだものよりも香りを強く感じました.また工場見学も出来るため,視覚的にも楽しい場所でした.知人に勧められて,Other Half Brewingへも行きました.ちょうど周年イベントに当たってしまい,今考えると恐ろしいほどの混み具合だったのですが,IPA系もスタウト系も信じられないくらいの味と香りの濃さで(グラスを持っていた手がベタつきました),一口でファンになってしまいました.

フィラデルフィアでは偶然にも,本稿を執筆することをお誘いいただいた編集委員であり,私をビール漬けにした張本人でもある榊原航也先生が滞在されていましたので,研究議論を兼ねてフィラデルフィアの街を一緒に散策しました.フィラデルフィアに来て正解だったと思ったのは,お土産です.ニューブランズウィックは学園都市のため,お土産を探そうとするとラトガーズ大学グッズが定番なのですが,こちらに来れば幅広い選択肢があります.この出張のために事務の方々にかなりお手間を取らせることになってしまっていたので,そのお詫びを兼ねたお土産を無事に見つけることが出来ました.失敗だったのは,この日は気温が-11度まで下がり,帰りの電車辺りからは完全に体調を崩してしまい,次の日はホテルに籠らざるを得なかったことです.冬の時期に滞在される場合はしっかりと防寒を整えることをお勧めします.以上のように,ニューブランズウィックは静謐な環境にありながらも,週末ごとにリフレッシュ先を選べる非常に恵まれた土地であると言えるでしょう.

良い具合に濁ったビールと,上機嫌な同行者

良い具合に濁ったビールと,上機嫌な同行者 @ Crime and Punishment Brewing Co.

2020年は新型コロナウイルス感染症が広がり,滞在から1年近く経つ現在も猛威をふるい続けています.滞在期間中は日本での累計感染者数が100人を超える前後の時期で,帰国後は国外出張が出来るような状況ではなくなってしまいました.再び海外の大学に滞在し,現地の研究者と密な議論がまた出来るような社会的状況になることを祈りながら,本稿を終えたいと思います.



たけうち ひろし
滋賀大学
[Article: D2012B]
(Published Date: 2021/02/02)