草野 元紀
2016年10月22日(土曜日)に、京都大学大学院理学研究科 数学教室にて開催された応用数学フレッシュマンセミナー2016の参加報告を行う。
このフレッシュマンセミナーに参加するにあたって、開催者の坂上貴之先生(京都大学)から次のようなメールを頂いた。
“今回の趣旨は皆さんの研究の背景やその概要を若手やシニアの皆さんと共有し、今後の若手研究者の横つながりを促進することが目的ですので、あまり数学的詳細には立ち入らず、研究の動機・背景・目的・それに照らして自分がどのような成果を得たかといった点(時間的に可能なら数学的にどのような点がもっとも力が入っているかといったこと)を中心に講演いただければと思います。”
私が惹かれたのは、“若手研究者の横つながり”だ。このことについては、指導教員の平岡裕章先生(東北大学)も、「学生やポスドクの時期に知り合う同世代の(必ずしも同じ分野とか限らない研究者としての)友人は、長い目で研究者としての人生においてとても大切な存在になることは確かです」と仰っていた。私は、他の研究集会などを通して、既にセミナーの講演者の半分を知っていたが、その中には研究内容を十分に理解できていなかったり、あまり話したことがない人もいた。また、残りの半分の講演者については会ったこともなかったため、“つながり”を広げる絶好の機会になると思い、本セミナーに参加することにした。
セミナーは14件の発表からなり、フレッシュマンセミナーの名の通り講演者はM1(2名)、D1(3名)、D3(6名)、PD(1名)、助手(1名)、助教(1名)と大学院生・若手研究者で構成されており、講演時間はD3未満が15分、D3以上が20分であった。講演内容は解析系の応用数学の話題が中心であった。私の研究テーマは代数トポロジーと統計科学の応用であり、私自身は数値解析や数理モデルなどの微分方程式を用いる応用数学にはあまり明るくなく、通常の応用数学の研究集会では知識の少なさからあまり研究内容を把握できなかった。しかし、このフレッシュマンセミナーでは開催要旨にもあるように、動機などを簡潔に説明する講演が多かったため、同世代の研究者が何をやっているのか以前よりも正確に把握することができた。印象に残った講演の一つに、飲み会の時の写真を用いて世話人の8名の先生を紹介するというものがあり、その場にいた先生も笑うなど盛り上がりをみせた(もちろん、その後は研究の話に戻った)。夕方までは研究内容を中心に議論したが、セミナーが終わると懇親会である。今回のセミナーで初めて会った人と自己紹介をしたり、研究の話だけでなく、今後のことや私生活のことなどを話したりして、親睦を深めた。私はホテルのチェックインもあり2次会で切り上げたが、話に聞くと4次会以上まで盛り上がったようだった。
趣旨にもあるように、このフレッシュマンセミナーのおかげで横のつながりは強く促進されたと思う。このセミナーで接点を見つけた若手研究者が共同研究を始めたということも、横耳に挟んだ。また、この後開催された応用数学合同研究集会では、このセミナーの参加者の多くと再会することになったが、研究内容をあらかじめ把握できたことから、同研究集会への参加を昨年よりも実り多いものにすることができた。
最後に、若手のためのフレッシュマンセミナーを開いてくださったこと、大学院生である私に講演の機会をくださったことを、開催者の先生の皆様に御礼申し上げます。
くさの げんき
東北大学
[Article: G1702F]
(Published Date: 2017/04/19)