JSIAM Online Magazine


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学術会合報告

Czech-Japanese Seminar in Applied Mathematics 2018(CJS2018)

石渡 哲哉



「Czech-Japanese Seminar in Applied Mathematics 2018」(CJS2018)およびそのサテライトワークショップである「The 16th Workshop on Mathematical Analysis for Nonlinear Phenomena」(WMANP16)がそれぞれ2018年7月13日から16日に能登半島の能登町の宿「能登きんぷら」と7月17日に金沢大学にて開催されました。総勢69名が参加し、CJS2018では49件の講演とショートコミュニケーションが8件、WMANP16ではショートコミュニケーションが4件とポスター発表が23件あり、活発な議論が交わされました。参加者の研究テーマは多岐にわたるが、ざっくりまとめると、非線形現象の数理モデル化やモデル方程式の数学解析および数値解析、コンピュータ科学、数値解析学やこれらの応用となっています。各発表の講演タイトルなどの情報はセミナーサイト

https://sites.google.com/site/cjs2018noto/

にあるのでご興味のある方はぜひ参照してください。また、現在編集中の講演論文集が刊行予定なので、より詳しい内容については、そちらを参照していただければと思います。

このチェコ日本セミナー(以下CJS)は、2004年に故中木達幸さん、木村正人さん、M. Benesさんらをオーガナイザーとしてプラハで開催され、その後2005年は久住、2006年はプラハ、2008年は高千穂・宮崎、2010年はプラハ・テルチ、2013年は中野、2016年はポーランドのクラコフ、といった具合に日本とチェコおよびその周辺国で交互に開催されています。現在日本側は木村正人さん、矢崎成俊さん、および筆者が取りまとめをしています。これまでのCJSの詳細については先サイトからのリンク先を参照してください。各回のプログラムなどが確認できます。また、このセミナーにはK. Mikulaさん, D. Sevcovicさんらを中心にスロバキアの応用数学メンバーも多数参加しています。これはもともとチェコとスロバキアの研究グループに交流があったためだと思いますが、CJSとはペースが異なりますが、過去2回開催されているスロバキア日本セミナーにチェコのメンバーが参加するなど、お互いごく自然に声をかけて一緒に研究集会をしているという認識です。日本、チェコ、スロバキアの研究仲間で行われている共同研究もあり、国際会議などではしばしば一緒にセッションを企画しています。また、日本チェコ間では留学やポスドクの採用なども行われており、いろいろな面で長年培われた信頼関係があることも特徴です。特に、昔から付き合いのある筆者の世代以上の年齢層だけでなく、若手中堅世代も非常に仲が良く、もはや国を跨いだ研究交流をする、というよりも、定期的に研究仲間と合宿をする、という感覚に近いのではと感じています。

今回のCJSは2013年の中野(明治大学中野キャンパス)以来の日本開催でしたが、場所は能登半島の先っぽの方にある九十九湾に面した宿でまさに合宿形式で開催され、活発な議論が行われました。また、ここは海に面した大変自然が豊かな場所で、休み時間などに散策するのも楽しく、また夜はなかなか経験できないレベルでの満天の星空を堪能することができました。街でやるセミナーにもいろいろ楽しさや良さはありますが、今回のように街から離れた場所で寝食を共にすることで、より深い付き合いができたのではないかと思います。場所の選定や交通路の確保などに尽力された木村正人さんには、改めてこの場で感謝したいと思います。

さて、次のチェコ日本セミナーは来年2021年夏にチェコでの開催を予定しており、今後も定期的に開催していく予定です。次回の日程など詳細が決まりましたら、案内させていただく予定です。



いしわた てつや
芝浦工業大学
[Article: G1806A]
(Published Date: 2020/04/24)