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学術会合報告

研究集会「NVR 2021・JST CREST "モデリングのための精度保証付き数値計算論の展開" 成果報告会」開催報告

関根 晃太



2021年11月27日から28日にかけて精度保証付き数値計算に関する研究集会

を合同でオンライン開催し、総勢40名近くの方々にご参加いただきました。

27日の成果報告会では、2014年10月に早稲田大学 大石 進一 先生が研究代表者として始動したJST/CREST 研究課題「モデリングのための精度保証付き数値計算論の展開」の最終年度として、各研究グループから15件の講演がございました。数値線形代数から始まり、スーパーコンピュータ向けの大規模問題、ディジタルとなるmax-plus代数、ソリトン、有限要素法、放物型方程式、ナビエ・ストークス方程式、遅延微分方程式など、対象となる分野の広さが伺えました。また、錚々たるメンバーの洗練された講演だけではなく、早稲田大学 修士2年 齊藤 優輝 さんや高松 尚輝 さんの講演などもあり、「フレッシュさ」も味わえる成果報告会でした。

28日の「精度保証付き数値計算の実問題への応用研究集会」(通称: NVR)は、「精度保証付き数値計算をもっと実問題に応用できないか?」という趣旨のもと2017年12月に早稲田大学 柏木 雅英 先生を筆頭に、中尾 充宏 先生、南畑 淳史 先生、関根の4名で立ち上げた国内向けの研究集会です。本研究集会の特徴としては、通常の講演に加え、精度保証付き数値計算と連携できそうな分野の先生をお招きし、共同研究を模索させて頂いております。NVR2021では、理化学研究所 中田 真秀 先生と東北大学 田中 敏 先生をお招きさせて頂き、活発な議論をさせて頂きました。またNVR2021では、芝浦大学 尾崎 克久 先生による行列積のエラーフリー変換(いわする、尾崎スプリット)のソースコードまで含めたチュートリアルや、筑波大学 高安 亮紀 先生によるJulia言語による精度保証付き数値計算法のチュートリアルも実施させて頂き、私の研究室の精度保証付き数値計算をほとんど知らない3年次学生からも「チュートリアルがわかりやすくて良かった!」という意見も頂けました。

最後に、致し方ないことですが新型コロナウイルスの影響から、昨年度のNVR2020に引き続き完全オンライン開催になってしまった点が心残りです。第1回のNVR2017では小倉(福岡県)、NVR2018では広島、NVR2019では高松(香川県)のように、転々と会場を変えて実施し、懇親会(時期的には忘年会?)まで含めて他分野の先生との交流を深めてきました。その一方で、オンライン開催だからこそ参加のハードルが下がり、多くの方々と議論できるというメリットもあります。そのため、今後は、NVRのような小規模な研究集会だからこそ可能な開催形態も模索していきたいと考えております。



せきね こうた
千葉工業大学 情報科学部 情報工学科
[Article: G2112C]
(Published Date: 2022/04/22)