JSIAM Online Magazine


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学術会合報告

International Workshop on Reliable Computing and Computer-Assisted Proofs 参加報告

内野 佑基



International Workshop on Reliable Computing and Computer-Assisted Proofs (ReCAP 2022) が2022年3月13-18日に開催されました.ReCAP 2022は,精度保証付き数値計算分野の研究者間の交流を目的としており,力学系・固有値・高信頼計算・微分方程式・ニューラルネットワークに関する講演がなされました.各講演タイトルや概要などの詳細はReCAP 2022のウェブページをご参照ください.

ReCAP 2022のウェブページはこちらです.

和風なデザインのトップページであり,講演者はすべて写真やイラスト付きで紹介されていました.

当初は浜松・浜名湖での開催が予定されていました.しかしながら,新型コロナウイルスの感染状況を受け,オンラインでの開催となりました.ReCAP 2022は私にとって修士課程最後の発表の場でした.修士課程に進学して以来,発表の機会はすべてオンライン開催だったので,ReCAP 2022がオンライン開催となってしまったことは非常に残念に思いました.感染状況や各機関の出張許可の問題などの諸般の事情を考えると,やむを得ないご判断だったと思います.

一般的なオンライン集会では主催地域の時間に合わせて開催されるため,主催地域以外の参加者は連日深夜に長時間の講演・聴講を行うことが多いと思います.しかしながらReCAP 2022は,あらかじめ投稿された各講演の動画を視聴して事前にSlackに質問を投稿し,チャットやZoomで議論を行う形式となっていました.Zoomでの議論は5分間の概要の説明と10分間の質疑応答で構成されており,リアルタイムでの長時間の会議を避け,1日3時間程度で終わるようになっていました.また,Zoomによる質疑応答以外にもチャットによる長い時間の議論が可能となっていました.これにより時差の問題を極力克服していました.ReCAP 2022ではそのようなこのような新しい形式での開催でしたが,主催者のスムーズな運営によりトラブルなく閉会しました.

私自身は芝浦工業大学の尾崎 克久先生の共同研究者,及び学生セッションの発表者としてReCAP 2022に参加いたしました.学生セッションは,精度保証付き数値計算分野の日本人学生が他大学・他機関の研究者からコメントやアドバイスを得る機会を提供することを目的として開催されました.また,副次的に学生のモチベーションや研究推進能力の向上,各研究室の研究内容の把握を目的としていました.Zoomを用いてリアルタイムで行われ,学生1人につき発表15分・議論15分と濃密な議論が展開できるような構成となっておりました.学生たちはそれぞれ参加した研究者から多くのアドバイスをいただいていました.私の発表では,線型方程式の混合精度残差反復法を応用した低精度行列積についての議論が盛り上がったことが印象に残っています.穏やかな雰囲気の中で行われ,非常にリラックスして参加することができました.

ReCAP 2022では,今後も継続されるであろうオンライン集会の新たな形式を体験できました.これまでのリアルタイム開催では,時差の問題や各機関での会議等の都合により聴講したい講演を聴講できなかった方もいらっしゃったと思います.それに対してReCAP 2022では,動画による講演ということですべての参加者が時間に縛られず聴講・議論ができたことと思います.新しいスタイルということもあり,運営は非常に大変なものであったと思います.主催者の田中 一成先生(早稲田大学),大石 進一先生(早稲田大学),荻田 武史先生(東京女子大学),劉 雪峰先生(新潟大学),高安 亮紀先生(筑波大学)には感謝を申し上げます.



うちの ゆうき
芝浦工業大学
[Article: G2206D]
(Published Date: 2022/07/26)