山中 卓
研究部会「若手の会」は日本応用数理学会の若手会員の活動を活性化することを主な目的として2010年に設立されました. 現在,主査・幹事・運営委員の計15名からなる運営体制の下で,学生や若手研究者の交流を深めることを目的としたイベントの企画・運営を行っています.以下では2019~2020年に若手の会が企画したイベントについてご紹介します.
まず,若手の会が主催してきた代表的なイベントとして「学生研究交流会」が挙げられます.これは,学部生や大学院生に対して気軽な研究発表の場を提供することを狙ったイベントで,例年3月に開催しています.第1回の開催趣旨を振り返ると,「まだ応用数理学会の年会や研究部会連合発表会で発表するような内容にはなっていないけれども、研究を進めるにあたって広い分野の多くの方々から意見をもらいたい、また、近い将来にしっかりした発表ができるようになるために、まずは研究発表に慣れ親しむ場が欲しい、あるいは他の大学の卒論生はどのような研究を行っているのかを知りたい、といった要望は少なからずあるように思います。本研究集会はこのような要望に応えるものです。」とあります[1].このような趣旨の下で多くの大学院生・学部生の方々に例年ご参加いただいており,例えば第4回(2019年3月)には学部生・大学院生合わせて40名弱の参加がありました.第5回(2020年3月)はコロナ禍の影響で中止としましたが,2021年3月に次回の開催を予定しています.
学部生・大学院生向けのイベントだけでなく,20代後半~30代の若手研究者向けのイベントも企画してきました.2019年9月には若手研究者の交流を目的として「分野横断型研究交流会」を開催し,若手学会員による13件の講演が行われました.さらに,新たな試みとして「若手・中堅の研究者による後輩へ向けたエール」をテーマとした講演会を2020年度年会の若手の会OSとして企画しています.これは,若手年長組~中堅世代の研究者を講師として招いて研究の醍醐味や経験談を自由に話していただくことで,後輩世代の若手研究者・大学院生のモチベーションを高めることを狙った企画です.今回は,鈴木大慈先生(東大)に「機械学習の数理研究と統計科学」,中務佑治先生(オックスフォード大)に「留学と数値解析」というタイトルでご講演いただきます.
若手の会が設立されて今年で10年になります.その間,上述の他にも「若手研究者によるチュートリアル」などの色々なイベントを実施してきました.まだ実現に至っていないイベント案もいくつもあります.このようなイベントの多様性は,若手学会員にとってどのようなイベントが「面白いのか」ということを,その時期の運営メンバーが模索してきた結果と言えるかもしれません.若手の会では,これからも若手会員の交流を促進する様々な取り組みを検討して参ります.学会関係者の皆様におかれましては,引き続き若手の会の活動にご理解ご協力くださいますようお願いいたします.とくに,若手学会員,大学院生および学生の皆さまには,イベントへの積極的な参加を是非ご検討いただきたく,お願い申し上げます.
参考文献:
[1]谷口隆晴,研究部会だより「若手の会のこれから」,JSIAM Online Magazine, I1511A, 2016/6/11. (https://jom.jsiam.org/13535/)
やまなか すぐる
青山学院大学 理工学部 物理・数理学科
[Article: I2007A]
(Published Date: 2020/09/07)