JSIAM Online Magazine

学会ノート

新しい学会事務局について

齊藤 宣一



学会誌30巻4号(2020年)で岡本久会長からお知らせがあったように,2020年12月1日より,日本応用数理学会の事務局業務全般は,株式会社国際文献社に委託されております.

筆者は,この委託に,総務・事務局担当理事として直接携わりました.この記事では,その経緯を記録して会員の皆様にお伝えします.なるべく正確を期すよう努めましたが,多分に筆者の独断による部分も多いと思います.当然ながら,この記事の内容に関しては,すべての責任は,筆者である,私,齊藤宣一にあります.

 

学会事務局の委託について

当学会では,学会創設以来,東京都文京区弥生の学会センタービルの一室に独自の事務局を構えておりました.しかし,近年,様々な理由により,事務局の運営が困難になってまいりました.外部委託は,そのような状況を踏まえた上で,理事会において熟考を重ねた結果の決断でした.

事務局業務の委託自体は,今回が初めてではなく,学会創設以来,会員情報の管理,会費の請求と入金の管理と役員選挙の一部,そして,学会誌の発送などは,外部の業者に委託されていました.はじめの委託先は学会事務センターでした.しかし,ご存じのように学会事務センターは2004年8月に破産しました.学会事務センターは,当時,約300の学会の会費徴収業務を代行しておりましたが,各学会からの会費を「預かり金」の名目で,学会事務センターの同一の口座で管理していました.当時,副会長であった小柳義夫先生が学会誌21巻1号(2011年) に詳しい経緯を記しておられます.小柳先生と当時の事務局長の安達悠子さんの迅速な対応のおかげで,最悪の事態は逃れたものの,大きな被害も受けました(具体的な被害については小柳先生の記事をご覧ください).その後,委託先を日鉄情報技術センターにかえましたが,この苦い経験を踏まえ,会員からの入金はすべて学会の口座に振り込まれることになります.日鉄情報技術センターはその後,学会事務業務からは撤退したので,2011年からはニッセイエブロが委託先となりました.ニッセイエブロは,当時,論文誌の印刷を委託していた会社です.

なお,事務局業務とは別に,学会ウェッブの運用や,年会・研究部会連合発表会における参加登録と講演申し込みシステムの運用は,学会のネットワーク委員がすべてボランティアで担ってくれています.また,学会に関わる情報を定期的に配信しているMLダイジェストの配信先データの管理も,会員情報とは別に,ネットワーク委員会が管理していました(いろいろ変遷があったようですが,現在はこの形になっている).ここで,あえて「ボランティア」と表現しました.もちろん,学会の運営に携わっている会員には,皆,ボランティアで協力していただいております.しかし,ネットワーク委員会の活動の多くは,外部の専門業者に発注すれば,それなりの費用がかかることです.理事が理事会に出席することや,学会誌の編集委員が原稿を集めることとは,仕事の種類が大きく異なります.今後も「ボランティア」に頼って学会運営をして良いか否かは,自明ではないと,個人的には感じております.その趣旨であえて「ボランティア」と書きました.

実はこのような業務の分割によって,どうしても業務の重複や煩雑さが生まれました.そのうち会員管理に関わる問題は深刻でした.一例を述べます.現在,年会には,非会員も参加できますが,参加費の値段が異なります.したがって,参加登録の際に会員であるか否かをチェックする必要があります.しかし,前述のように,会員情報を管理しているシステムと,参加登録のシステムは全く別です.結果,(ある程度の自動化はできるといえ)実質,手作業での照合をすることなり,そのために払う労力は小さくありませんでした.実際,会員管理そのものを学会事務局で行う計画もあり,ネットワーク委員会を中心に準備をはじめていましたが,なにぶんボランティアに基づいているので,進捗は順調とはいえませんでした.

また,このように,事務局業務が実は分割されて行われていることを,ほとんどの会員の皆様はご存じないため,問い合わせ等の際に,「たらい回しにされている」と感じる方もいらっしゃったと思います.実際,問い合わせ先のメールアドレスが複数ある一方で,それらのアドレスの転送先をすべて把握している方は,(私の見たところ)誰もいない,と言うのが実情であったようです.

 

委託先の選定と決定

私の理事(総務・事務局担当)としての任期は2020年6月28日の定時総会からの予定でしたが,5月初めに,岡本会長と前任者の中口悦史先生から事務局の現状を聞き,外部委託のための調査を開始しました.第9代会長の森正武先生の記事「日本応用数理学会の誕生まで」(学会誌創刊準備第1号,1990年)を読んだり,初代事務局長の安達さんにこれまでの経緯を聞き情報収集するなどして,事務局の歴史を予習をしたのちに,学会事務業務を請け負える業者を探し,そのうち5社に見積もりを依頼しました. 各会社は請け負える業務に少しずつ違いがあり,見積額も大きく異なりました.そのうち数社とはオンラインで打ち合わせを重ねました.その結果を,理事会で報告し,結果,国際文献社とA社(イニシャルではない)が最終的な候補となりました.この間は,すべてオンラインでのやりとりでした.しかし,事務局業務を任せるとなると,会社自体を見ておかないと決断は難しいと考え,(コロナ禍ではありましたが無理なお願いをして)この2社を尋ねて,直接にお話を伺い,印象を理事会に報告しました.国際文献社は笠井健社長が,また,A社は常務が,直々に説明をしてくれました.その後,再度オンラインで,会長,副会長と理事数名に対して,2社にプレゼンをしてもらいました.2社に対する印象は,ほとんどの理事の間で共通していました.すなわち,すでに160を超える学術団体,特に50を超える一般社団法人の事務局支援を行っている国際文献社には,確固たる実績と自信を感じました.一方で,A社は,事務局支援の歴史は浅いものの,その分,新しいシステムの導入に積極的であり,若い常務には強い意欲を感じました.

結果的には,理事会(2020年9月25日)における理事の全員一致で,国際文献社への委託を決定しました.なお,会費などの学会への入金は,すべて学会の口座に直接振り込まれ,国際文献社の口座は経由しませんし,出金は一円であっても,総務・事務局担当理事の承認がなければできないようになっておりますので,学会事務センターの悲劇が繰り返される可能性はありません.ご安心ください.

因みに,国際文献社とA社の見積もり金額には,大きな違いはありませんでした.むしろ,今回,複数の会社から見積もりを取ったことで,これまで,当学会が支払ってきた事務委託費がかなり高額であったことがわかりました.実際,2020年度と2021年度は,引き継ぎ期間の重複分と初期費用等がかかるので,大きな経費削減は見込めませんが,2022年度(あるいは2021年度後半)からは,事務局運営にかかる経費は,従来に比べて大きく削減されます.したがって,事務局業務の外部委託に伴った会費の値上げは,まったく想定していません.今後も,業務の外注が必要になった場合には,複数の会社から見積もりを取り,内容を比較検討し,交渉しながら適切な金額を決め,委託先を決定します(あたりまえのことで,今更宣言するようなことではありませんが).

 

委託後の数か月

契約期間の都合上,急ピッチで,ニッセイエブロからの会員データの移行をすませ,2020年12月1日から,国際文献社内に,当学会の事務局が設置されました.学会センタービル内の旧事務局とは,しばらくは,引き継ぎを行いながらの業務遂行になります.

委託を始めて最初に感じたことは,国際文献社は,学会事務局運営に関してはプロフェッショナルであるということです.業務開始にあたり,関係者は当学会の定款を十分に研究して臨んでくれておりました.結果,実は,2012年の法人化以降,必ずしも定款に沿って運営されていない(そして理事会側が自覚していない)点を指摘されました.それ以外にも,学会運営に関して,様々な方策を提案して下さいます.後述するマイページや委員会ポータルも順次稼働することができました.

実は今回,業務委託が加速された一因に, 2020年冬から始まったコロナ禍があったことも事実です.2020年4月から5月にかけての緊急事態宣言発令中は,事務局を開室することができませんでした.12月以降も,引き継ぎと後始末のため旧事務局を開室する予定でしたが,2021年1月から再度発令された緊急事態宣言中には,それが全くできなくなってしまいました.2021年に旧事務局を開室できたのは,3月下旬の二日間だけでした.したがって2020年12月に委託を開始していなければ,2021年度の会費請求や役員選挙に大きな支障をきたすところでした.間一髪でこの難を逃れることができたといえます.

 

会員番号について

2021年2月に発送された2021年度の年会費の請求書には,会員番号として96BCDEのかたちの6桁の数字が記されてました(B,C,D,Eは0~9のうちのいずれか).一方で,昨年までニッセイエブロから届いていた請求書の会員番号は164-A96-BCDEの形でした(Aもは0~9のうちのいずれか).急に会員番号が変わったのか,と不審に思われた方も多いと思います.この点について,ここでご説明します.

ニッセイエブロから引き継いだデータベース上では,会員番号は,164-Aと96BCDEの組み合わせ(164-A-96BCDEと表記されている)と96BCDEのみの形が混在し,会員の識別には96BCDEのみが使われておりました.この164と96は,(賛助会員も含めて)全会員に共通に振られている数字で,会員の識別にはまったく寄与していません.しかし,それでは164-Aと96は何を目的として付加されている数字なのか,という疑問が生じます.学会事務センターと日鉄技術情報センターが編集していた名簿では,会員番号はA96-BCDEの形をしていますが,学会誌の送付の際には,164-A96-BCDEと記されていました.ニッセイエブロに委託後は名簿の発行はなくなりましたが,学会誌や請求書の送付の際には,164-A96-BCDEと記されていました.しかし,多くの方に確認したものの,164と96の意味や,どのような規則でAを決めているのかについてはわかりませんでした.(ニッセイエブロからは,「わからなかったので,0〜9を順に割り振っていた」と回答をもらいました.)学会事務センターは多くの学会を抱えていたので,164は応用数理学会の識別番号であったのであろうと推測されますが,そうであるとすると,日鉄技術情報センターがそのまま164を引き継いだ理由はわかりません.また,ニッセイエブロは,当学会のみしか学会の事務機業務の委託をうけていなかったので,そもそも,識別番号は不要のはずです.すなわち,過去15年以上に渡って,理由もわからず不要な情報を付加していたことになります.新事務局では,ニッセイエブロからの引き継ぎに基づき,会員識別に用いていた96BCDEを会員番号として,会員管理を行なっています.また,Aを割りあてることはやめました.しかし,新事務局が,いままで,請求書や会誌の発送の際に, 164Aという情報が付記されていたことを把握していなかったために,164Aの付加をやめた事をお伝えしないまま,請求書を発送してしまいました. 以上が事の顛末です.いずれにせよ,今後は(実は今までも,会員の識別に使われていたという意味で),当学会の会員番号は96BCDEの6桁です.これを機にご周知くだされば幸いです.

 

今後の年会と研究部会連合発表会について

年会は幹事となる大学に所属する会員,研究部会連合発表会は幹事となる研究部会の会員が中心となり実行委員会が構成されています.一方で,大会ウェッブと参加登録,講演申し込みシステムの運用は,ネットワーク委員会がボランティアで担ってくれていました.実はこのネットワーク委員会の負担はかなり大きいものでした.例えば,参加費は,(a)銀行振込,(b)コンビニ,(c)クレジットカードの三種類の方法での支払いが可能でした.(b)と(c)に関しては,最終的には学会の口座に入金されますが,業者との契約や(業者における学会の)アカウントの管理はネットワーク委員会が行っていました.これ自体,高度に事務的な業務であり,大学や企業に職を持つ会員がボランティアで行う仕事の範囲を超えていると,私は個人的に感じていました.多くの会員の皆様は,この業務を事務局が行っていると理解されていたのではないでしょうか.これ以外にも,事務局や実行委員会でなく,実際にはネットワーク委員会が(同じ人が数年にわたって連続して)行ってきた仕事がたくさんありました.「引き継げば良いのではないか」と言う事は容易い事ですが,実際に引き継いでくれる人はなかなか見つかりません.そこで,今回の事務局業務の委託先を探す際に,年会などのシステムの支援も行えるということを条件にしました.国際文献社はこの業務に関しても実績は十分でした.特に,会員情報のデータベースを共有できるという強みがあります.今後は,年会,研究部会連合発表会ともに,国際文献社に業務の一部を委託して実行してまいります.

もう少し具体的に説明します.年会ウェッブのトップページは,今まで通りネットワーク委員会に開設してもらいますが,「参加登録システム」,「講演申し込み・予稿提出システム」,「公開システム(これがオンラインの年会会場になる)」については,国際文献社に委託します.もちろん,そのための費用は,決して安くはありません.しかし,近年の年会では,参加者から徴収した参加費をかなり余らせてしまっておりました.また,現在,年会だけでなく,会員の皆様からいただいた会費や参加費は,効果的に研究活動の支援に使えるように,学会全体の予算計画の再構築をしております.

「なるべく自分たちでやれば安く済むではないか」という意見はあると思います.しかし,実際の作業は主に若い研究者が行います.外注して100万円かかる仕事に対して,若い研究者にボランティアで働いてもらい,学会は経費を節約し,若い人は研究時間を奪われる,ということは(大学は好んで選択しても)見識ある日本応用数理学会が選択する方法ではない,と私は信じています.

なお,2020年度年会,研究部会連合表会に引き続き,2021年度の年会も完全オンラインになる可能性が高くなっています(2021年3月28日現在).「オンライン開催なら,会場費がかからないのだから安く済むはずだ」と考える方がいらっしゃるようですが,これは大きな誤解です.オンラインですべてのイベントを安定に安全に行えるシステムを構築するには,物理的に会場を借りるよりも多くの費用がかかります.ご理解くだされば幸いです.

なお,年会,研究部会連合発表会の支援については,事務局業務と完全にリンクしている必要はありませんので,より適切な支援が可能な会社が別に見つかれば,その会社に委託先を変える事も柔軟に考えていきます.

 

マイページについて

国際文献社に会員情報管理を委託したので,国際文献社が開発した会員情報管理システム「マイページ」https://iap-jp.org/jsiam/mypageの利用ができます.マイページでは会員自身で,以下のことが可能です.
・会員情報の確認・変更(各項目について公開・非公開設定)
・MLダイジェストの配信希望の有無の設定
・パスワードの変更
・会費納入状況の確認
・クレジットカードによる会費納入(時期限定)
・会費の請求書・領収書の取得
・(公開されている)会員情報の検索

異動や昇進,自宅住所に変更があった場合などに,いちいち事務局に変更届を出さなくても,ご自身で変更が可能です.

なお,2007年以降,当学会では会員名簿を作成していません.マイページの会員情報の検索機能は,会員名簿に変わる機能を提供します.実際,検索条件を指定せずに検索を実行すれば,全会員の名前が参照できます.会員の皆様には,公開できる情報(所属名など)は,なるべく公開の設定をしてくだされば幸いです.

 

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応用数理学会ポータルについて

会員情報管理システムの一部として,「日本応用数理学会ポータル」https://www.bunken.org/jsiam/portal/Login/があります.ログイン名とパスワードはマイページと同じです.

このポータルの中には,学会の各委員会のページがあり,委員の方々が登録されています.マニュアルはログイン後の画面の左下からダウンロードできます.

ポータルのメニューの中に委員の最新名簿があります.これを今後,各委員会の名簿とさせていただきます(マイページの最新情報と連動しています).ポータルでは、ファイルの共有や出欠の管理などができますので,適宜ご利用くだされば幸いです.

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さいとう のりかず
東京大学
[Article: K2103A]
(Published Date: 2021/04/21)